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中国・青海省(玉樹)地震

死者2,183人、行方不明者84人
 2010年4月14日午前7時49分(日本時間同8時49分)中国西部青海省玉樹(チベット名でユルシュル)チベット自治州(人口約8万人)結古鎮付近を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。震源の深さは約33Kmで四川省甘孜(ガンゼ)〜玉樹〜風火山を結ぶ断層帯が動いたものと見られている。震源地は省都の西寧(シーニン)市から約800Km離れた山間地で、チベット族独特のレンガ積み住宅が多い地域。
 この地震により震源地周辺は激しい揺れに見舞われ玉樹県結古(ジエグー)鎮(人口約2万人)では倒壊率99%という。中国・青海省地震局の地震応急速報によると、19日午前1時までに、余震は合計1182回観測され、うちM6以上が1回、M4台が3回、M3台は8回で、18日にはM3以上の余震が発生していない。
 4月21日現在、この地震による死者2,183人、行方不明者84人、負傷者が12135人。倒壊家屋は約15000棟、約10万人が家を失うなど大きな被害に発展している。現地は標高4000mの高地で、夜はマイナス8℃となるほど冷え込みが厳しく、家を失った人たちの避難生活は厳しい状況にある。(被害数は2010年4月21日現在)
犠牲者のご冥福を祈り、被災者に心よりお見舞い申し上げます







 


 




 




 






 翌日(15日)の夜、現地を訪れた温家宝首相はがれきの山を登り、チベット族が大半を占める被災者らに、「皆さんの苦しみはわれわれの苦しみ。失った家族はわれわれの家族でもある」と語りかけた。また「希望がある限り(救出作業を)あきらめない」「われわれは必ず、この町で再び良い暮らしができるようにする」と述べた。

★四川地震より手厚い被災者支援
 青海省政府応急管理弁公室は18日、被災地の生活支援措置を決定した。16日に民政部、財政部、国家食料局が共同発表した中央政府の支援措置に加えて、青海省政府も自己財力を使って地方措置を講じるようになった。
 (1)被災住民の生活支援措置として、被災を受けた14日から一人当たり15元と食料500グラムを配給する。中央財政から10元、青海省は地方財政から5元を負担する。支給期間は暫定で3カ月とした。
 (2)犠牲者が出た遺族弔慰金は、一人あたり8000元を支給する。国家財政から5000元、青海省が地方財政から3000元を負担する。
 (3)緊急に移転したり避難する被災者に、一人当たり150元を補助する。
 (4)孤児、一人暮らしの老人、単身の身体障害者に、月に一人当たりに1000元を支給する。国家財政から600元、青海省が地方財政から400元を負担する。孤児は18歳成人まで、独居老人は生涯受け続けられる。
 これらの生活支援策は、四川大地震より条件がよい。青海省が行った地方財政による上乗せ措置は四川では行われていない。これについては、中央政府自体は四川大地震の生活支援政策の基準を守るが、民族地域、高山・高原地域などの特別事情を考慮に入れ、四川の時より支給額が高くなるよう青海省政府に検討させたと考えられる。
 食糧の配給は、民族の食生活習慣を考えて、中央食料備蓄倉庫から供給される4600トンの食糧の80%を小麦粉に、20%を米に割り当てることになった。小麦は、青海省にある中央食料備蓄倉庫から出荷され、稲籾は寧夏回族自治区にある中央食料備蓄倉庫から出荷し加工してから被災地へ運送される。中央財政から中央食料備蓄倉庫の出荷、加工、運送などのコストとして、小麦はトンあたり50元、米は同70元の補助を実施することになった
★義捐金
 新華社によると、4月17日16時までに、青海省は累計3.75億元の義援金、6118万元に相当する救援物資を受け取っている。そのうち、青海省財政庁は累計2.42億元、青海省民政庁と青海省慈善総会は1.05億元の義援金と、3694万元に相当する物資を受領。青海省赤十字会は累計2823万元の義援金と2424万元に相当する物資を受け取っている。
 すべての寄付金は青海省財政庁の専用口座に振り替えることになっており、被災地以外の各地方政府から寄付されている資金は2.25億元に達している。
 18日午前10時に開かれた国務院の震災第4回記者会見によると、テント45550枚、綿コート16万4240枚、綿布団198210枚、即席食品10万人分などの生活物資を全国で調達して運送している。そのうち、既に被災地に到着したのは、テント2万5千万枚、綿布団5万2千セット、綿コート1万6千万枚、インスタント食品と飲用水850トンなどである。そのほか、18950枚のテントが西寧から玉樹に向かっている途中である。現在、被災地の住民は殆どテントに入居し、食事、飲み水、治療など生活問題は徐々によい方向へ向かっている。
★テレビで300億円の義捐金
 4月20日夜、共産党と政府がテレビの特別番組を共催し被災者に対する救済や支援を呼びかけた結果、総額20億7500万元(約304億5000万円)が集まった。中国新聞社によると、テレビの募金活動では2008年・四川地震の15億1400万元を上回っているという。番組では共産党序列5位で思想宣伝工作担当の李長春誠司局乗務員が出演、チベット族が大半を占める被災者を救済し、震災復興ムードを盛り上げる政治ショーの様相も呈した。
★ボランティア活動規制
 青海省西寧市から玉樹県結古鎮まで約800キロの国道214号は、幅約7メートルしかなく、土砂崩れや崩落などで道路事情がよくない。海抜3700メートルの結古鎮は、まちの面積がわかずに2.5キロ平方メートルで河川の谷にあり、狭い場所に倒壊された建物と危険な住宅がある。まちのなかにある3本の道路の長さは合計31.1キロで、地震前には1日3000台の車が通行するに過ぎなかったが震災後は3万台に急増し、道路設計能力10倍を超えて渋滞がひどく、救援活動は支障を来している。
 そのため、青海省玉樹震災対策指揮部は17日、正式な通達で、全国から被災地に駆けつけるような支援活動に規制を呼びかけている。
 (1)救援物資と設備は、青海省でまとめて受けいれる。即座に被災地に転送する必要な救援物資と設備は、政府が統一的に手配しており、各自に分散して運送することを避けること。
 (2)省内の各地区、各関係部門、機関、社会団体は、直接に救援活動に参加したり、被災地で業務履行をしたりする以外は、弔慰活動や非救援車両で被災地に行かないようにすること。
 (3)非緊急救援者、ボランティア、観光客などの人々は、現段階ではなるべく自ら被災地へ行かないようにすること。
 公安部交通管理局は17日午前零時から、国道214号の新寨村から結古鎮までの間と、結古鎮民主路、勝利路、紅衛路、新建路、結曲南路などで交通管制を行うことになった。同管理局の抗震救災前方調整班は18日、被災地の生命線である道路運送圧力を緩和するために、なるべく政府を通じて被災地に物資寄付などを行い、自ら車を運転して被災地に向かうことを避けるよう、全国に呼びかけている。
 インターネットメディアの新浪網は、中国科学院中国地理科学・資源研究所所管の中国国家地理網のGIS技術を駆使し、被災地向けの道路事情や緊急物資、救援用のチベット用語、ボランティア活動情報を載せた地図を作成し、記事とリンクさせて24時間更新している


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