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ハリケーン「カトリーナ」災害の教訓
2005年8月29日、アラバマ州・ミシシッピ州・ルイジアナ州に上陸したハリケーン「カトリーナ」により米国災害史上最悪の自然災害に発展した。被災者に心よりお見舞い申し上げます。豊かな国アメリカでなぜこれほどの大惨事になったのか?台風が頻繁に襲来する日本でも対岸の火事ではなく、この教訓を生かすことがきわめて重要です。ハリケーンカトリーナ・1周年のニューオリンズ
防災アドバイザー山村武彦
被害が少なかった昨年の記憶が仇に?
昨年9月、3個のハリケーン(フランシス、アイバン、ジーン)がこの地域を襲った。特にアイバンは910hpaと今回のカトリーナと同じカテゴリー5の猛烈なハリケーンだった。アイバンは9月2日に発生し3日後にはハリケーンとなった。そして、数週間にわたってフロリダからメキシコ湾を迷走した。最後の上陸地点となったルイジアナ州に上陸したときはカテゴリー3となり上陸後熱帯低気圧になった。このとき、数週間にわたってこの地域にはアイバンの迷走にあわせ避難勧告、避難命令、非常事態宣言が出されては取り消されるなど混乱した。特にニューオリンズでは避難命令が出たが結局さほどの被害には発展しなかった。今回避難命令を無視したり、避難を逡巡した住民は昨年のこうした経験が結局仇となったと思われる。そして自分だけは大丈夫だという根拠のない安全神話を信じ、前回避難命令が出たが大丈夫だったから今回もという正常性バイアスが働いた形跡がある。常に最悪に備えることが重要だと今回の大惨事は教訓を残した。
初動体制の遅れ
前述のような油断と緊張感の欠落は連邦政府や防災関係機関にもあったように見える。避難誘導体制、避難所確保、救助隊や治安維持部隊(州兵)の出動、避難状況の確認など緊急配備体制に精彩を欠いていた。大統領の非常事態宣言も昨年の空振り命令が響いたのか、形式的な対応でしかなかった。緊急事態発生時は初動時に最大の戦力を投入するという危機管理の鉄則が生かされず、支援警察官、州兵数はきわめて少なかった。初動体制の遅れは基本的にリーダーの資質とリーダーシップの欠如で引き起こされる。ブッシュ大統領が現地を視察したのは、災害後実に4日後であり、それも空から見ただけであった。1994年1月に発生したロサンゼルス・ノースリッジ地震の際、翌日には被災地をくまなく歩いて視察し、その場で最大級の支援措置を打ち出したクリントン大統領とはあまりにも対照的である。1995年の阪神大震災時の村山総理大臣(当時)も、緊急時のリーダーシップを発揮せず通常スケジュール(財界懇談会)などをこなしていた。その間、家の下敷きになって次々と市民が死んでいった。たとえ人柄が良くても非常事態に無能なリーダーは国民を見殺しにしてしまう。リーダーを選ぶにはこした資質こそ重要視されなければならない。
減災は防災民度に比例する
しかし、どんなに行政が優秀でも国民の防災意識が低ければ減災にはつながらない。どんなに堤防を高くしてもそれを乗り越え、破壊する災害は発生する。それよりも、国民一人ひとりが自分で危険を察知して、早期自主避難できるように防災意識啓発にコストとエネルギーを投入すべきである。人が石垣、人が城なのだ。そして、安全とは誰かに与えられるものではなく、自ら努力して勝ち取るものなのである。
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ハリケーン「カトリーナ」
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