|新型インフルエンザパニック|四川地震直後・現地調査/画像|阪神・淡路大震災|防災・危機管理講演会|山村武彦|ホームページ|防災格言|
2013年浜松市/門島地すべり( 春野町地すべり)現地調査写真レポート
山形県鶴岡市大網七五三掛地区・地すべり現地調査(写真リポート)文及び写真/山村武彦 |
|
山形県のほぼ中央に位置し日本百名山のひとつに数えられる月山(標高1984m)の麓。映画「おくりびと」のロケ地、鶴岡市大網七五三掛地区(しめかけちく・旧朝日村)で2009年2月ごろから家の構造に歪み、みしみしと音が聞こえ、ふすまやドアが開かなくなるなど地すべり兆候が見られた。雪解け後4月ごろから地割れ段差などが生じ現在まで大規模な地すべりが続いている。一時は1日10pほど地面がずれ動き、私が訪れた6月2日でも1日約3pから6pの地すべりが観測されていた。地すべり範囲は長さ約700m、幅約400mでところによっては2〜2.5m近く沈下。住民6戸26人は全員自主避難しているが、今後同地域での生活や農業継続は困難とみられ集団移転せざるを得ない状況にある。県では地すべりの原因を地下約25mにある地層の境目に地下水が流れ、それにより地すべりが起こっているとして現在、地質調査及び水抜き作業を行っている。 ※参考にしたリンク先:独立行政法人防災科学研究所/NIED・七五三掛地区地すべりに伴う亀裂の発生及び対策状況 この出羽三山周辺は従来から日本有数の地滑り地帯として知られている場所で、七五三掛地区は昭和42年に砂防法による「地すべり指定地」、平成3年10月には地すべり等防止法により「地すべり防止区域」に指定されていた。国交省は一昨年からの調査結果を踏まえ、今年度から地すべり防止工事を着手することになっていた地域。今回の地滑りを受けて応急対応は必要だが、地すべり対策は広範な視点から見て周囲との関連で行う必要がある。 ※参考にしたリンク先:独立行政法人 防災科学技術研究所/NIED・地すべり地形分布図データ 日本は国土の約7割が中山間地であり、地すべり防止法に基づく「地すべり防止区域」が7,279箇所、「地すべり危険個所」指定が21,593箇所とされている。しかし、実際は未調査でまだ指定されていな地域も多く、危険地域はこの数字の10倍以上あるといわれている。 今回の地滑り要因としては、平成十六年新潟県中越地震や平成二十年岩手・宮城内陸地震の震源域からも近く、七五三掛地域地層への地震による影響も否定できない。全国の急傾斜地域は、周辺で大規模地震発生した場合数年間は地すべり、土砂災害への警戒を怠ってはならないのだ。 |
|
山形自動車道から月山を望む |
大網地区(旧朝日村)は古くから朝日培土や大網培土の産地として知られ、地下水豊富な粘土質の地盤 |
大網地区は傾斜地形を生かした棚田に囲まれている。その水は山からの湧水 自然は大地の恵みと、それを享受する者に試練も与える |
周辺は砂防法に基づく「地すべり指定地」、地すべり等防止法に基づく「地すべり防止区域」 上の大網地すべり防止区域指定は建設省告示、下は農林水産省告示 |
七五三掛(しめかけ)地区は、以前から地すべり防止区域に指定されていた地域 |
弘法大師が開基した湯殿山総本寺「大日坊」、真如海上人の即身仏を安置し春日局の祈願寺でもあった 70年前、大規模地すべりで崩壊し約500m離れた現在地に移築された |
弘法大師が湯殿山を開山した折、堂宇を建て諸人の祈祷所とした注連寺 森敦の小説「月山」の舞台となり、境内に森敦文庫がある。地すべり現場から30mほどしか離れていない。 |
森敦文庫前の句碑 注連寺境内に置かれた鶴岡市現地本部 |
|