岩手・宮城内陸地震四川地震直後・現地調査/画像阪神・淡路大震災新型インフルエンザ防災・危機管理講演会山村武彦防災格言

岩手・宮城内陸地震から1年(2009年6月)・現地写真レポート/文と写真:山村武彦


くりこま高原駅売店(岩手・宮城内陸地震から1年、乗降客数は地震前の約50%に激減)

災害復旧工事のためあちこちで通行止めなどの交通制限実施中

今回の地震は建物被害の少ない山間部土砂災害地震であった

損壊したのは古い脆弱建物だけ
山肌に残る地震の爪痕(栗駒山周辺は火山特有の軽石質凝灰岩層、礫層、粘土層などで覆われ、岩屑なだれが起こりやすい)

落石注意の標識を見るたび、どうやって注意したらいいのかと悩む

栗駒山から流れる二迫川(にはさまがわ)

荒砥沢ダム周辺道路は通行止め

二迫川(にはさまがわ)上流にある荒砥沢ダム(平成10年竣工・350万立方メートル・多目的ダム)

荒砥沢ダム上流斜面崩壊(山体崩壊・円弧くずれ)崩壊最大落差148m、土砂水平移動距離約300m

荒砥沢ダム崩壊斜面と防災工事現場(このあたり、被害はダム周辺に集中)

荒砥沢ダムの真下にある山武温泉「さくらの湯」に被害はなく、元気に営業中

山武温泉では清流を引き込み「チョウザメ」を養殖している

山武温泉周辺は野草と山菜の宝庫でもある

荒砥沢ダム及び山武温泉から300m下にはのどかな田園が広がる(水田被害は軽微)

今回の地震を起こしたのは細倉−餅転し断層といわれるが、細倉(栗原市)は古くから鉱山で知られている
細倉鉱山は1987年廃鉱になるまで、1100年間にわたり金、銀、銅、亜鉛、カドミウム、鉛を産出していた
二迫川水系の鉛川などに鉛、亜鉛、カドミウムなどの重金属の一部が流入していた疑いもある
 
地震で崩壊した宮城県立鶯沢工業高校体育館下擁壁は、すでに復旧済み
 
宮城県指定無形文化財・江戸時代から伝わる正藍染工房も再開している

  被害の多くは山間地における土砂災害であり、住宅等の被害は極めて軽微である。「岩手・宮城内陸地震」というお役所的命名で、岩手、宮城両県の内陸部が甚大な被害を受けたような誤解を招いてしまったのは誠に残念。本来であれば「栗駒山周辺直下地震」とすべきであった。故無き風評被害で苦しむ人たちを支援するには現地に行き、豊かな自然の恵み風物を楽しみ、試練に耐えた人を励ますことである。特に山武温泉の岩魚の塩焼きと山菜の天ぷらは絶品。一年目の現地調査で感じたことは、厳しい風雪に耐えてきた住人達ならではのしなやか強さである。観光客激減にもかかわらず、手を抜かないもてなしを心がけようとする心意気が随所に見られ、山里の優しさぬくもりをたっぷり感じることができた。がんばれ!栗原!がんばれ!奥州!