|東日本大震災阪神・淡路大震災防災システム研究所現地調査写真レポート

2018年 ハワイ・キラウエア火山噴火 現地調査写真レポート
文・写真/山村武彦



2018年5月15日・Leilani Estatesの住宅街の割れ目から噴き出す溶岩(撮影:Seiji Yamamura)
★地球の息遣いに畏怖
 ナショナルガード(州兵)の案内で夜間の割れ目噴出口を視察した。安全のためかなり離れていても断続的に「ドン」という鈍い音が腹に響く。そのたびに噴出口から火柱が噴き上がる。赤い溶岩が花火のように弾け、飛び散り、火のカーテン(curten of fire)になる。疲れを知らない子供のように休まず脈打つ熱い息遣い。人智を超えた大地の奥深さに畏怖を感じる。火山は頂上や過去の火口だけでなく、麓の平地(住宅街)でも油断出来ないことを物語っている。地上に噴出される溶岩の温度は組成などによって異なるが一般的には600℃〜1,200℃で平均1,000℃と言われている。
 噴出する溶岩の色が温度の目安となる。赤色約600~800℃、オレンジ色約800~1000℃、黄色約1000~1200℃といわれている。一般的にアスファルトが溶けるのが約150℃、金や銀が溶けるのが約1000℃。(USGS・米国地質調査所HPより
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★キラウエア火山噴火
 ハワイ州知事とハワイ郡長は2018年5月3日、ハワイ島キラウエア火山が噴火したことを受け非常事態宣言を発令。ハワイ郡市民防衛局はeilani EstatesとLanipuna Gardens地域の住民2000人に避難命令を出し、Pahoa コミュニティーセンターとKeaauコミュニティーセンターに避難所を開設。また避難地域では有害な火山ガスが検出されており、消防局は周辺地域の高齢者や子供、呼吸器系に問題がある方は確実に避難するように促している。
 キラウエア火山の噴火活動が活発化しており、溶岩噴出口(割れ目)は約20か所に及び今後も噴出が継続し噴出口は増える可能性があるという。これまでに噴出した高温の溶岩によって35の家屋が倒壊(焼失)したという。Leilani Estates地区などが避難命令地域に指定され、Lanipuna Gardensの住民は有害な火山ガスのため現時点ではアクセスが許可されていない。米地質調査所(USGS)は、キラウエア火山山頂の火口で爆発的噴火が起きる恐れがあると発表し、ハワイ火山観測所は、そうした噴火が起きれば、火口からおよそ20キロの範囲が噴煙(噴石、降灰などの噴出物)に覆われるかもしれないと予想している。トランプ大統領は11日、ハワイに大規模災害宣言を出し、州や地元自治体の対応を連邦政府(FEMA)が支援することを承認した。州当局によると、住民を守るための対策にかかるコストは今後1カ月で290万ドル(約3億円)を超す見通しという。大規模災害宣言を受け、今後は州だけでなく国(FEMA・米国緊急事態庁)も主体となって避難所などの運営にあたる。

ドローンは飛行禁止・ヘリで上空から見ることに

線上に並ぶ約20カ所の噴出口(5月16日・撮影:山村武彦)

★最大2.5メートル地面を押し広げた
 日本の国土地理院は5月10日、地表に電波を送り跳ね返りの状況から地形の測定ができる地球観測衛星「だいち2号」のデータ解析結果画像を公表(上図)。キラウエア火山の溶岩を噴出する割れ目で地面が南北に避けるように広がり、最大で約2.5メートルずれ動いたものとみている。現場は米ハワイ島・キラウエア火山ふもとの住宅地で住民1,700人が避難したレイラニ・エステーツ地区。
 国土地理院の矢来博司(地殻変動研究室)室長は「地面を押し広げながら地下からマグマが上昇しているのではないか」と話している。、今年2月と5月8日のだいち2号のデータを比較すると
、東西に延びる割れ目を挟んで北側は北に約1メートル、南側は南に約1.5メートルずれ動いたことが分かった。国土地理院ではこれを基に、東西の幅約7キロメートル、深さ約2キロメートルの板状のマグマの通り道をマグマが上昇したものと推定している。5月16日現在割れ目噴出個所は約20カ所。

レイラニ・エステーツ地区(レイナニ通りの先は溶岩で通行止め)
★溶岩流警戒(危険)ゾーン(Lava Flow Hazard Zone
  ハワイ島では地域ごとに溶岩流危険ゾーン(Lava Flow Hazard Zones ・ラバゾーン)が指定され、住民説明会が開かれていた。噴火の歴史、割れ目の状況、地盤のぜい弱さ、想定溶岩流などから従来は5ゾーンだったが、新知見などを踏まえ現在は1~9ゾーンまで9段階に分類されている(下図参照)。1~5のラバゾーンに住む人が保険に入るには制限があるという。レウナニ・エステーツ地区など、今回割れ目噴火を起こした地域は一番リスクの高い「ラバゾーン1」となっていた場所。住民たちもいつか溶岩が噴出する可能性が高いと覚悟していたようで、非常事態宣言が発令され避難命令が出されたときも迅速に避難が完了できたという。当局の事前対応と適切な緊急対応、そして住民たちの危機意識もあって溶岩噴出による死傷者はゼロ。
Lava Flow Hazard Zone/出典:USGS(米国地質調査所)

レイラニ・エステーツ(Leilani Estates)地区
 2018年5月3日から噴火した場所は、ハワイ火山国立公園・キラウエア火山の頂上火口付近ではなく、裾野に広がる住宅街の一角からであった。東西に横切る割れ目はいくつもの道路をふさいでいる。

「火山の女神ペレ」が住むといわれるキラウエア火山が噴火すると、ペレの哀しみと怒りを鎮めるために住民が霊力があると信じるテ・リーフ(Te leaf)などを溶岩に供え祈りを捧げる。テ・リーフは魔よけの意味もあり家の周囲に植えている家庭も多く、フラダンスやレイなどにも使われる。
 古来、ハワイの人々が畏れ敬う「火の女神ペレ」。その性格は怒りっぽく残忍で衝動的。ペレの逆鱗に触れ火口に投げ入れられた人間の話などが数多く伝えられている。
 ペレはあるときは漆黒の髪のハワイアン美女に、ある時は腰の曲がった白髪の老女になって表れるといわれる。それと知らずペレの化身にみだらな行為をしたり粗末に扱うと火山が爆発するとも。
 キラウエア火山の堆積物のいくつかは「ペレの髪」「ペレの涙」と言った名前が付けられ、ハワイ火山国立公園内にあるトーマス・A・ジャガー・ミュージアムにも展示されている。
 左の書籍はペレにまつわる神話、伝説、歴史、体験談などをまとめた「PELE Goddess of Hawaii is Volcanoes」。著者はハワイの人間国宝ハーブ・カワイヌイ・カーネ氏。表紙のイラストは著者の作品でペレを表している。
 ペレが住むキラウエア周辺にはいくつかのタブーもある。その一つが「溶岩を持ち出すと不幸になる」というもの。国立公園には実際に「溶岩を持ち帰って以来悪運に見舞われている。溶岩を山に戻してほしい」といって、手紙と溶岩が世界中から送られてくるそうである。

レイラニ・エステーツ(Leilani Estates)地区

レイラニ・エステーツ(Leilani Estates)地区
溶岩によって焼けた住宅、これまでに溶岩を噴出させた割れ目は約20カ所36棟が損壊(焼失)



噴出後10日以上経ってもまだ温かさが残る場所もあるようだ
強い陽ざしの影響もあり隙間によっては50℃を超える所もある


eilani Estates地区
★割れ目噴火翌日、M6.9の地震
 2018年5月3日(すべて現地時間)にキラウエア火山の麓の住宅街で割れ目噴火が発生した後、4日22時32分にはLeilani Estatesの南西16㎞、深さ5㎞を震源とするM6.9の地震発生。3日の割れ目噴出口のほかにも大地にいくつもの亀裂が入り、場所によっては水蒸気などが噴出している。10日過ぎてなおM2~M4程度の地震が1日に8~20回発生している。亀裂が地震によるものか噴火によるものかは不明。


ガスの危険があるので割れ目や亀裂に近づかず、ガス警報器、ガスマスクを着装し離れた風上から望遠で撮影
火山ガス警報器装着
★二酸化硫黄(SO2・亜硫酸ガス)
  今回の噴出口では溶岩と一緒に二酸化硫黄が観測されている。二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、せき、気管支喘息、気管支炎など呼吸器系の障害を引き起こす。0.5ppm以上で臭いを感じ、個人差はあるものの30~40ppm以上で呼吸困難を引き起こし、100ppmでは30分〜1時間が耐えうる限界とされている。400ppm以上の濃度では数分で生命に危険が及ぶ。一般的に二酸化硫黄は硫黄独特の臭いにより検知することが容易であるが、500ppmの二酸化硫黄を吸収すると短時間に嗅覚が冒され臭いを感じなくなる危険性がある。アメリカの二酸化硫黄の基準は2ppmだが、我々が調査した場所は噴出口より少し離れた風上のためか、警報器のアラームが鳴ることはなかった。
 日本でも三宅島では2000年の噴火以降火山ガスが放出され続け、平均1日あたり500t〜1,500tの二酸化硫黄が放出されている。三宅島では島内14か所で二酸化硫黄の観測監視を行い、濃度が高くなった場合1~4までの火山ガスレベル警報又は注意報を防災t行政無線などで全島民に伝達される。
 火山ガスは、地下のマグマに溶けている水素(H)、酸素(O)、塩素(Cl)、硫黄(S)、炭素(C)、窒素(N)などの揮発性成分が圧力が低下することなどによって発泡し、水蒸気(H2O)、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、二酸化硫黄(SO2)、硫化水素(H2S)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、窒素(N2)、一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)などとなって地表に放出される。
 火山ガスによる死亡事故は、火砕流や火山泥流と比較すれば少ないが、1990年以降の火山災害では死亡者の約2.5%にあたる1,900名が火山ガスで亡くなっている。中でも最悪の火山ガス事故は、1986年にアフリカ・カメルーンで発生している。事故は火口湖であるニオス湖の水に溶けていた火山性CO2が約1k㎥に突出して1,734名が死亡、牛も7,000頭が犠牲になった。インドネシアのディエン高原でも噴火によって放出されたCO2によって142名が死亡した事故もある。


割れ目付近ではいまだに溶岩が噴き出し、周囲はガスにより黄変し樹木は枯れて茶色くなる

飛び散った溶岩はアスファルトを溶かし一体化している

赤いリボンは避難命令地域(Evacuation Areas)を示す

ヒロスポーツセンターの避難所(米国赤十字社運営)・室内にテントを張ってプライバシーを守る人も
 ペット同行避難も認めている(認めないと避難を嫌がる人もいるので)

複数のペットや乳幼児のいる家族は屋外テントで生活をしている人も多い
赤十字社の手の届かないところは民間ボランティアがカバー
(責任者は物資が集まりすぎて大変とのこと・ドネーションはお金が一番とも)
ドネーションにはココヤシの実も届く 
地元のマッサージ師が交代で避難者の疲れをほぐしている

ハワイ火山国立公園/無期限全面閉鎖(5月4日)

★専門家が警告
 5月8日、3日からの割れ目噴火の影響でキラウエア火山・ハレマウマウ火口の溶岩湖では、溶岩レベルが350メートル以上低下したことで、上部からは溶岩表面が見えなくなった。露出した火口壁から岩石がボロボロ崩れ落ちるたびに、衝撃で赤みがかった灰色の噴煙が立ち上り、大量の火山灰を飛散させている。米国立公園局とハワイ郡民間防衛局は、キラウエア周辺への立ち入りを一切禁止している。ハワイ火山観測所(HVO)は24時間体制で観測を続けているが、火山学者ティナ・ニール氏は「溶岩が流出したことで、マグマの通り道に地下水が流れ込めば、膨張した蒸気で地下の圧力が高まり、いつ大規模な水蒸気爆発が起こってもおかしくない状況だ」と述べている。キラウエア火山のハレマウマウ火口では、1924年5月にも大爆発が起こり、14トンの巨石が噴出して観光客が死亡している記録が残っている。
 5月15日、5月17日専門家の警告通り、下の写真のようにハレマウマウ火口で94年ぶりの爆発的噴火が始まった。

キラウエア火山・ハレマウマウ火口爆発的噴火(2018年5月15日)
★2018年5月15日・5月17日、キラウエア・ハレマウマウ火口の爆発的噴火
 5月15日(現地時間)、キラウエア火山・ハレマウマウ火口で新たな爆発的噴火が発生。この爆発で火山灰と噴石が噴き上げられたのが確認されている。噴煙は約3,000~3,300メートルほど上空に達し、その後も噴火は継続している。3日からの噴火は割れ目から主に溶岩と火山ガスの噴出だったが、15日の噴火は火山灰、噴石を伴う噴火。当局は3日の最初の噴火以来初めて住民にメールを配信し、火山灰が目や呼吸に影響する恐れがあると警告している。
キラウエア火山・ハレマウマウ火口爆発的噴火(2018年5月15日)
キラウエア火山・ハレマウマウ火口爆発的噴火(2018年5月15日)
キラウエア火山・ハレマウマウ火口の爆発的噴火(ハワイ火山観測所(HVO)カメラ)
 5月17日4時17分(現地時間)、15日に続いてハレマウマウ火口で再び爆発的噴火が発生。噴煙は最高9,100メートルに達し、3日に始まった一連の噴火活動の中で17日の噴火が最大規模の爆発的噴火となった。この噴火で周辺地域への降灰が懸念されている。キラウエア火山に近いヒロには多数の日系人が住んでいる。北東貿易風により、今のところヒロ中心部に噴煙の影響は出ていないが予断を許さない状況。キラウエア火山の麓と火口付近の噴火に刺激され今度はマウナ・ロア火山が大規模噴火を起こすのではと住民たちの不安が高まる。また、こうした爆発的噴火や割れ目からの溶岩噴出が今後も続けば、観光産業への影響は避けられない。一日も早い鎮静・終息を祈るばかりである。

★ヴォッグ拡散予測(上図)
 ハワイ大学はHPでキラウエア火山噴火に関し、ヴォッグの拡散予測を公開して警戒を呼び掛けている。ヴォッグ(Vog)とは、ボルケーノ(Volcano・噴火)とスモッグ(Smog・大気に浮遊する汚染物質)の合成語で、噴火と共に噴出する二酸化硫黄(SO2)などの火山性ガスが太陽光、酸素などと反応し人体などに有害な微粒子となって大気中を浮遊する状態をいう。ヴォッグは風に乗って拡散するので、遠く離れた地域にも影響を与える危険性がある。ヴォッグはとくに呼吸器疾患患者などの目、鼻、喉の痛みや頭痛、息切れ、喘息や気管支炎などをもたらせ症状を悪化させる可能性がある。とくに二酸化硫黄が水と反応してできる硫酸ミストは心臓や呼吸器の病気を増加させる危険性にも注意を払う必要がある。
ハワイ島では北東貿易風と呼ばれる北東の風が卓越して吹いている。ヴォッグは噴火火山の風下地域に影響を与えるが、キラウエア火山はハワイ島の南東部に位置するため、噴煙の多くは海上に流されハワイ島住民への影響は少ない。しかし、気象条件や気圧配置などによって風向が南寄りに変化すれば、ハワイ島・コナ地域だけでなくオアフ島やマウイ島などにもヴォッグが拡散する可能性がある。濃度によっても異なるが、呼吸器系疾患のある人は、拡散予測に注意しマスクを装着するか外出を自粛する必要がる。ヴォッグ拡散予測

 2018年5月4日22:32(現地時間)にM6.9の地震発生
震源:16㎞ SW of Leilani Estates, Hawaii・震源の深さ5㎞(USGS)

全ハワイ諸島の62%を占めるビッグアイランドと呼ばれるハワイ島(人口148,677人)。その面積は10,432.5㎢で岐阜県(10,620㎢)とほぼ同じ広さである。活動順にコハラ、マウナ・ケア、フアラーライ、マウナ・ロア、キラウエアの5つの火山で構成された島である。
島中央部にはマウナ・ケア(海抜4,205 m)とマウナ・ロア(海抜4,169 m)がある。ギネス・ワールド・レコーズの認定によると、海洋底の基部から測った高さでは、マウナ・ケアが10,203 mで世界で最も高い山である。マウナケア山頂付近は、天候が安定し、空気が澄んでいることもあり、世界各国の研究機関が天文台を設置、日本の国立天文台が設置したすばる望遠鏡もここにある。また、山頂では常夏の島でありながら冬場には積雪も見られる。1987年、ハワイ火山国立公園は世界遺産に登録された。

世界一重い火山/マウナ・ロア(MAUNA・LOA)
★世界一重い火山
 ハワイ島中央部に位置し、裾野はハワイ島の半分を占めるマウナ・ロア。ハワイ語で「長い山・広い山」という意味を持つ。標高4,170メートルでマウ・ナケア(4,205メートル)よりは低いが、堆積は75,000立方キロメートルと世界一の重さ(体積)。日本の富士山が1,400立方キロメートルなので、マウナ・ロアは富士山の50倍以上重いということになる。その重さで島の海底が押しつぶされてしまい、ハワイ島は毎年少しずつ地盤沈下を起こしている。
 マウナ・ロアの最近の噴火は1984年で、キラウエア火山が3年間で噴出する溶岩をマウナ・ロアは3週間で噴出させている。このところキラウエアの火山活動が活発化しており、懸念されるのは本体のマウナ・ロアの噴火。万一、マウナ・ロアが噴火すれば想像を絶する規模の噴火になる危険性がある。

★キラウエア火山
 
キラウエアは、ハワイ語で「吹き出す」または 「多くまき散らす」 を意味し、キラウエアの山体はマウナロア火山の南東斜面上にある。キラウエアの標高は1,247 mであり、マウナロアの標高4,169 mと比べるとずいぶん低い。しかし、ハワイ諸島の中では最も火山活動が活発な火山がキラウエアである。1983年以来、断続的に噴火を継続させておりキラウエア最近500年間の歴史において、最も長く継続している噴火活動といわれている。キラウエア火山が形成され始めた時期はまだ確定されていないが、30万-60万年前と推定されている。キラウエアは、20世紀中に、45回の噴火が記録されている。とくに1983年1月にプウ・オオ火口から始まった噴火は、幾度かの活動の不活発化はあるものの、2018年4月まで35年間継続していたが5現在は沈静化している。プウ・オオから噴き出す玄武岩質のマグマは粘度が低いため、溶岩流はまずは地表を伝い、表面が冷え固まった後は地下の溶岩洞を伝って流れ続けている。 
 2014年12月からの火山活動では、プウ・オオ火口のマグマが発生源と思われる溶岩流は州道130号線付近まで押し寄せ、付近の人々を避難に追いやり、いくつかの住宅を破壊した。2018年4月30日の頻発地震に始まる麓の火山活動では、5月4日に溶岩流が州道130号線近くのレイラニ・エステーツ (Leilani Estates) とラニプナ・ガーデンズ(Lanipuna Gardens)の両住宅地に押し寄せた。

★キラウエア火山カルデラ
 キラウエア火山 山頂にあるカルデラ内のハレマウマウ火口(下の写真)は、直径約1km のほぼ円形の火口で高さ約85m の火口壁はほぼ垂直。1974 年の噴火でハレマウマウ火口を埋め尽くした溶岩がほぼ平らな火口底をつくっている。2008年3月19日に84年ぶりに爆発的噴火があり火口底に新火口が形成された。新火口の直上の火口縁にあった展望台は放出された火山岩塊によって破壊された。キラウエアカルデラ周辺の道路は東部を除いて現在も通行が禁止されている。
 新火口はハレマウマウ・オーバールック火口(Halemaʻumaʻu Overlook Vent あるいはCrater) と呼ばれている。火口内には溶岩湖が形成されている。その後火口壁の崩落と爆発を繰り返して現在では倍ほどになっている。そして前述したように、2018年5月ハレマウマウ火口底の沈下が観測され、専門家はこのままだと水蒸気爆発の恐れありとの警告していた。
上記写真はヒロ在住の写真家TAJ KAROLCZUK氏が2018年4月27日に撮影したハレマウマウ火口

プウ・オオ火口(2018年5月16日/撮影:山村武彦)↓↑
★プウ・オオ火口(上の写真)
 キラウエア火山の中心にあるハレマウマウ火口から延びる東リフトゾーンと呼ばれる噴火帯上にプウ・オオ火口がある。1983年1月3日から始まった噴火でこの火口ができて以来、今日まで溶岩を噴き出すハワイ方式噴火が連続的に続いている。ハワイ式噴火(Hawaian eruption)というのは、マグマのしぶきや溶岩が連続的に流れ出る非爆発的型の噴火、その典型例がキラウエア火山で「ハワイ式噴火」と呼ばれている。マグマのしぶきを連続的に噴水のように放出する噴泉や割れ目噴火による「火のカーテン(curten of fire)」などが特徴。このタイプの噴火が起きるのはマグマが玄武岩質で粘性が低く、水などの揮発性成分の含有量が少なく、温度が高い場合に多く見られる。こうした噴火タイプはハワイだけでなくアイスランドなどにもあるが、日本でも玄武岩質マグマを噴出する伊豆大島や三宅島などでもよく見られる。ハワイ噴火方式は非爆発的で噴出飛散物が遠くまで飛ばないため、火山活動の中では安全なものと思われていて、観光スポットとしても人気がある。
 しかし、ハワイ式噴火から爆発的噴火に移行することもあるので油断は禁物。割れ目噴火が海岸に達して海水や地下水と接触し爆発したり、火口内を埋めたマグマが地下に逆流するときに地下水と接触したりすると、マグマ水蒸気爆発に移行することもある。 1790年、キラウエアを行進中の兵士80名が死亡した事件や、1924年5月18日、観光客が火口からの飛来物に当たりそれが原因で死亡した事件。また1983年三宅島噴火でも新澪池・新鼻での噴火の例もある。
 プウ・オオ火口からの溶岩流は、南へ流れ太平洋へ注ぐことが多いが、時折、北東へも流れている。この方向には町があり、2014年には、溶岩流の末端部がプウ・オオ火口より13kmほども離れたパホアの町の中心150mほどまでに迫ったが、この末端部は同年11月12日の時点で停止(下の写真)したものと判断され被害は軽微。

出典:USGS(米国地質調査所)

時間が過ぎると溶岩に花も咲く

★ハワイ州観光局からのお知らせ(2018年5月15日16時更新)
 ハワイ島東部における火山噴火についての報道が続いておりますが、「ハワイ島へご旅行される皆様への観光の影響は現在の所なく、ご旅行先を変更頂く心配はございません。」とハワイ島観光局局長ロス・バーチが述べております。ハワイ島西部、ケアホレにあるエリソン・オニヅカ・コナ国際空港や東部にあるヒロ国際空港のすべてのフライトは、通常通り運航、またハワイ島内の宿泊施設およびアクティビティーなども同様に、通常通り運営されております。
 キラウエア火山の噴火による被害は、ハワイ島東部の市街地から離れた一部の地域のみで、ハワイ島総面積6,482㎢のうち、影響を受けているのはプナ地区のレイラニエステートとラニプナガーデンズ区域の約16㎢(ハワイ防災局・噴火被害エリア。下図)のみです。ハワイ島全域を通じて、今回の火山活動による大気への影響はございません。但し、溶岩が流出している付近に限り二酸化硫黄(亜硫酸ガス)等の有害物質に汚染されている可能性があるため、大気への影響を注視しております。(2018年5月15時16時現在)

それでもハワイ島は魅力的

キラウエア火山噴火の影響で観光客は激減(VOLCANO GOLF CLUB)
広々としたゴルフコースをハワイの州鳥、ネーネー(NE NE)が闊歩していた
ローカルビール「ラバ・ビール(溶岩ビール)」
果物が安くてうまい(カメカメハ通り フリーマーケット)

マカデミアナッツファクトリー

ヒロ・クロック
★ハワイ島ヒロの津波
 ヒロは日本と同じように津波常襲地域。最近では1946年のアリューシャン地震と1960年のチリ地震発生後の大津波で多数lの犠牲者を出している。とくに1960年のチリ地震津波では地震発生15時間後にハワイに到達した10.5mの津波で日系移民の多かったShinmachi(新町)地域は壊滅的被害となった。上の写真はチリ地震で津波に襲われた午前1時4分で止まったままの時計「ヒロ・クロック」がモニュメントとして残されている。この時は津波到達予想時刻の5時間前に津波警報が出されていたが、津波はチリがある南東方向から自分たちの地域は大丈夫と思っていたようだ。遠地津波は津波の波長が極めて長かったので、津波は後ろからも回り込んで襲ってきた。(ヒロ・クロックはカメハメハ通りのゴルフコース脇に設置されている)

津波避難エリアを示す標識(ヒロ市内)

ラウパホエホエ/津波犠牲者追悼記念碑
★24人が犠牲になった岬
 1946年4月1日、アラスカ州アリューシャン列島・ウニマク島近くを震源とする地震(M7.8)発生、その4.9時間後にヒロ湾を襲った14mの津波によりハワイ島で165人が犠牲になった。ヒロ郊外のラウパホエホエには当時約2,000人の住民(主に日系人)がいて海岸近くにあった小学校が津波に直撃され教師・児童など24人が犠牲になった。

太平洋津波博物館(ヒロ)
 太平洋津波博物館は科学、歴史や個人の体験談を通じ、津波に対する認知度や教育を向上させることを専門にした非営利の博物館。館内には津波の知識を伝える図表・写真やシアターなどがあり、東日本大震災関連の資料も展示されている。2015年、太平洋津波博物館は岩手県・大船渡津波伝承館と姉妹提携の調印をした。(Kamehameha通130・火曜日から土曜日の午前10時~午後4時まで開館・電話935-0926)
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