東日本大震災阪神・淡路大震災防災システム研究所現地調査写真レポート

ネパール地震(Nepal EarthQuake 2015)
現地調査(2015.4.30〜5.4)・写真レポート
その3/地震多発国で、なぜレンガ造りなのか
撮影・文:山村武彦
◆地震多発国で、なぜレンガ造りなのか?
 被害の多かったカトマンズやバクタプルなどでは、鉄筋コンクリート造りや鉄骨モルタル造りの倒壊もあるが、レンガ造りの建物崩壊が目立つ。とはいってもレンガ造りでも全く壊れていない建物もあるので、倒壊がレンガ造りという要因だけではなく、地質、地盤、地形、設計、施工などに左右されていることが推測される。しかし、伝統的なネワール様式でしっかり建てられた建物であれば地震の揺れでも壊れにくいが、それでも耐用年数は200年という研究もある。ましてコストを抑え鉄筋やコンクリート柱を使用していないレンガ造りは一般的に耐震性はなく、揺れに対するぜい弱性は否めない。
 約80年前のビハール・ネパール地震(1934年・M8.1)で、カトマンズ盆地で多くの建物が倒壊しています。約8千年前は湖で揺れを増幅しやすい地盤であることはみな知っている。にもかかわらず、地震多発国でなぜレンガ造りなのか?現地では崩れたレンガを同じ場所に同じ工法で再度積み上げている現場をいくつもみた。詳らかにするには限られた時間しかなく意を尽くせないが、ひとつの一面をレポートする。。

崩れた世界遺産・仏塔(バクタプル)のレンガを慎重に片付ける人たち

古い倒壊家屋(バクタプル)のレンガサイズは210弌100弌40个世辰燭
年代、地域、用途などによりいくつかのサイズがあるとのこと
レンガ造りでも壊れていない建物も多い(上と下)

レンガで造られた養鶏場

ネパールのレンガ文化/井戸もレンガ造り

井戸もレンガを積み上げてつくる

広場にもレンガが敷き詰められている

こぐちを斜めに交差させ敷き詰めた数百年前に造られたというレンガの道

レンガ用粘土採掘所
カトマンズ盆地は昔、湖だったこともあり、レンガ材料の粘土は比較的入手しやすい

粘土を練って型に入れ、整形し天日干し
(乾季・麦の採りいれの季節がレンガ造り最盛期)

風向き陽射し角度を配慮しての天日干し(乾季・1〜3か月)

乾かしたレンガをレンガ工場の窯で高温で焼く(工場の煙突レンガも一部崩れた)

レンガ工場の看板

レンガにはすべてメーカーのマークが刻まれている

汎用レンガは1個10円〜12円
一軒家(2階)を建てると小さな家で4万個〜6万戸レンガが必要

地震で崩れた家のレンガを使い、同じ場所に同じ工法で再建中
写真(下)のように近くの畑の泥を練ってレンガとレンガの間を埋める
(四隅の柱に鉄筋コンクリートを入れる場合もあるが、ここでは一切使われていない)
一階と二階の間は竹を渡してその上に板を載せ泥とレンガでつくる
屋根は軽いトタンで葺く場合が多い

近くの畑の泥を練ってレンガ積みに使用

崩れた家のレンガも使えるものは使う

中央の男性が地元のレンガ職人、左側の女性が依頼主
地震で壊れた建物をなぜまた同じようにレンガで再建するのかと聞くと
延べ面積で18坪程度のレンガ造りでも約4万個のレンガが必要だが
職人の手間賃を入れても約50万円でできる
鉄筋を入れたりコンクリート造りにすれば300万円〜500万円かかる
お金さえあれば、地震に強い建物を作りたいのは山々だが
金が入る当てはなく、全壊しても政府からもらえるお金はごくわずか
通常2〜3階建てで、1階が納屋か作業所、寝室や居間は2階か3階
屋根は軽いトタンだから押しつぶされる危険性は少ない
また地震が来たら、早く逃げて、助かったらまたこのレンガで建て直すという
レンガをつくる土を神様が与えてくれたこの地の恵みに感謝している
「レンガは夏涼しく、冬暖かい」
「ネパールにはネパールの土で作った建物が一番似合う」とも
レンガだから火が出ても火事になりにくく大火にもならない
ネパール地震その1/写真レポート
ネパール地震その2/ネパールで見た「チョク」と「互近助」
ネパール地震その4/ネパールとバクタプル周辺風景
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