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2009年7月27日発生/館林竜巻災害・現地写真レポート

被災者に心よりお見舞い申し上げます(写真及び文/山村武彦


2009年7月27日14時ごろ/群馬県館林市で竜巻が発生重傷者1名を含む21名が飛来したガラスなどで負傷、建物419棟が損壊(うち全壊25棟)、そのほか館林市内で電柱の折損や街路樹や公園の立ち木の倒木が多数あった。邑楽町では落雷による火災が1件(ぼや)あった。


急に暗くなって、ヒヤッとする冷たい風が吹き始めた後、猛烈な突風が襲いアンテナや看板を吹き飛ばした


電柱に引っかかったトタン板


館林市大街道のスーパー「ベルク館林大街道店」の駐車場で車30台が竜巻によって横転し損傷
また、自転車の下敷きになった女性(69)が胸を強く打って重傷を負い、ガラスなどが割れ店内や車内にいた13人が軽いけがをした
突風はベルクの南西から来て北東に向かい、約6.5キロ、幅約50メートルの帯状に進んだとみられる





網入りガラスも飛来物で割れた


スーパー壁面に竜巻の飛来物がぶつかった跡が残されていた


被害は50m幅、6.5Kmの線上にあるが、被害は飛び飛びに発生(屋根や瓦を吹き飛ばし電柱を傾けた)
これは強弱をくり返しながら進むという竜巻の特徴が見られる


2階以上の階のガラスが被害を受けた


木片、瓦、ガラス破片が宙を舞った

 





飛ばされたプレハブ




館林市立第一小学校/多くの桜の木が裂け、折れた


木々に断熱材

スーパーベルクから南西に200mほどのところにあるハローワーク館林の室内は、吹き込んだ木材が窓枠とともに床に落ち、ガラスの破片や書類が散乱した。窓口のある事務所2階には、職員約10人と利用者数人がいた。大竹宏明所長(56)によると「ガラスの割れる音がしたと思ったら、室内に風が押し寄せ、目の前の職員が血を流していた」と話した。ここでガラスの破片で3人負傷。





車が浮き上がり倒された





 

 
切れた電線


電柱倒壊、電線切れで一時3000世帯が停電


東武伊勢崎線(羽生~太田駅間)、佐野線(全線)、小泉線(全線)が突風による架線支障の影響で、約8時間運転見合わせた

F2~F1の竜巻
 壊された家の主婦(48)は「暗くなって急に風が吹いてきたと思ったら、駐車場の大きな乗用車が浮き上がってびっくりした」さらに「ものすごい土ほこりとゴミが舞い上がっていった」という。前橋気象台によると竜巻と断定し、竜巻の強さを示す藤田スケール(F0~F5)6段階中4番目の「F2」(7秒間の平均風速50~69m)か、5番目の「F1」(10秒間の平均風速33~49m)と推定している。
前橋地方気象台が群馬県に出した情報
★27日午前6時20分/雷注意報
★27日午前11時44分/大雨洪水注意報
★27日午後2時17分/竜巻注意情報((14時18分~15時20分)・しかし、竜巻注意情報の約18分前に館林を竜巻が襲っていた。
8日前にも岡山で竜巻?
 
岡山県美作市7月19日夜、突風などにより割れたガラスで2人が軽傷を負い住宅36棟が損壊した。そのほか無人の軽自動車が50m飛ばされ水田に落ちるなど車11台が全損などの被害があった。気象庁は竜巻の疑いもあるとして係員を派遣し調査にあたった。
竜巻注意情報について
 2008年3月26日から開始された竜巻注意情報の発表。竜巻は局地的(市町村の一部)ゲリラ的に発生することが多いが、現在の竜巻注意情報対象範囲は都道府県ごとで地域が特定しにくいという意見もある。また、今回のように注意情報が竜巻発生後に発表されるなど間に合わなかったり、発表基準を超えなかった事例も多い。これは情報発表に至る技術がいまだ発展途上にあることを物語っている。こうした遅れや空振りに批判もあるが、たとえそれが都道府県単位であっても可能性のある危険性を開示する姿勢は評価されるべきである。昨今大型テントを利用する屋外の大規模イベントやデパートなどのエア遊具イベント等も多い。主催者や関係者に竜巻や突風などの基本的知識普及が図れれば意義のある情報となる。日本で発生する竜巻は発生から消滅までが数分~数十分と短命なので、竜巻注意情報も1時間ほどの短時間内を対象としている。
 そこで課題となるなのが技術精度向上と同時に発表後の迅速な周知伝達・利活用。マスコミ、防災無線、Web掲示板、警報メールなど迅速伝達と利活用方法の普及にもっとコストとエネルギーを傾注すべきである。現在は大雨警報の発表単位より広いなど、市民や地方自治体が対策や利活用しにくい情報ではあるが、新技術や旧来にない手法で危険を察知するために試行錯誤はつきものである。気象庁が平成22年度から計画している「格子点分布形式情報の提供開始」に注目し期待したい。

竜巻前兆現象(前線、台風などの影響で大気不安定、雷注意報、竜巻注意情報)
★急に暗くなり、冷たい風や突風が吹く
★雹(ヒョウ)が降る
★垂れたまっ黒な雲が広がる
★土、砂、木の葉、枝、建物の残骸などが飛ぶ
★気圧が急降下(又は急上昇)で耳がキーんと鳴ったり異常音を感じる
竜巻が発生したら
室内にいた場合
★頑丈そうな建物に避難する
★雨戸、シャッター、カーテンを閉じる
★窓や開口部から離れる
★部屋の中央で身体を伏せ両腕で頭と首筋を守る姿勢をとる
屋外にいたら
★できるだけ頑丈そうな建物に避難する
★壊れたり飛ばされそうなプレハブ、仮設構造物から離れる
★川、橋などから離れる
★野原など、避難する場所がない場合は、身体が収まる水路、窪みなどに伏せ両手で頭と首筋を保護する。

2012年 栃木・茨城竜巻災害/現地写真リポート