宮城県北部地震(平成15年7月26日)(被害写真とコメント)

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宮城県北部地震(平成15年7月26日)平成15年8月4日更新

 2003年、平成15年7月26日(土)宮城県北部を震源とする地震が発生した。前震、本震、余震と見られる震度6以上の地震が連続3回襲った.。この地震は今後発生が懸念される宮城県沖地震(今後30年以内に発生する確率98%)とは別のもので、内陸部の活断層が数回に分けて崩壊したものと見られている。現在も余震が続いている。
1回目、7月26日0時13分(M5.5)震源:宮城県北部、震源深さ:12Km、最大震度:震度6の弱(鳴瀬町、矢本町)
2回目、7月26日7時13分(M6.2)震源;宮城県北部、震源深さ:12Km、最大震度;震度6の強(鳴瀬町、南郷町、矢本町)
3回目、7月26日16時56分(M5.4)震源:宮城県北部、震源の深さ;10Km、最大震度;震度6の弱(河南町)
強い揺れによる建物被害は全壊320棟、半壊1,606棟、一部損壊6,638棟(火災3件)、重傷26人を含む651人が負傷し、自主避難も含め避難者は一時3,059人に上ったが、現在は178世帯416人が避難している。被害総額は現在のところ67億円とみられている。(
平成15年8月4日13時現在/総務省消防庁調べ)一部では仮設住宅建設、入居の準備が進められている。電気は約100,000戸が停電したが26日深夜には復旧し、水道は一時13,925世帯が断水したが、30日の午後には全て復旧した。(この地震による津波はなし)
被害を受けた方々に心よりお見舞い申し上げます。
今回は内陸の浅い活断層の地震でM6.2でしたが、この付近は1978年6月12日に発生した宮城県沖地震(M7.4・死者27人)の再来が懸念されているところです。今後さらに防災対策の整備と警戒が必要と思われます。
 私は当日の午後から現地に入り、2日間にわたって南郷町、鳴瀬町、矢本町など現地調査を行いました。怪我人の半数以上は家具の転倒による打撲で、そのほかガラスの切り傷、熱湯を浴びたやけどなどでした。
 幸い死者は出ませんでしたが、震度6の強にしては建物の倒壊率、道路、橋梁などの損壊状況からして、従来考えらている「震度6の強」のイメージよりは被害が少ないと思われます。被害が少なかったこと、死亡者が出なかったことは喜ばしい限りです。とはいっても「震度6の強」に襲われた地域の人々は大変怖い思いをされたと推察いたします。
その一方で「震度6の強」とはこんなものかと他の地区の人々が思われると問題です。もちろん、震源位置、岩盤の壊れ方、その地域の地形、地盤、地震動の伝播状況によっても異なるが、気象庁が発表している震度階解説によれば「震度6の強」とは(抜粋)
1、木造の建物:耐震性の低い住宅では、倒壊するものが多い。耐震性の高い住宅でも、壁や柱がかなり破損するものがある。
2、鉄筋コンクリート造:耐震性の低い建物では、倒壊するものがある。耐震性の高い建物でも、壁、柱が破壊するものがかなりある
と、なっていますが、今回の宮城県北部の地震で見る限り、非常に古く脆弱な建物だけが壊れたように思われ、一般的に耐震性が低い建物でもほとんどと倒壊していないように見受けられました。
各地の震度情報は平成8年までは体感震度でしたが、平成8年4月から全国に配置された震度計による計測震度となり、その地域で計測した最大震度を発表するようになりました。加速度3ベクトルを重視した現在の震度情報は、今後震度計の精度、特性、震度階、震度発表方法などについて、混乱を避けるための検討が必要と思われます。

下記写真は当日筆者が現地調査を行った時のものです。(撮影山村武彦・無断転載、複製はご遠慮ください)

建物の倒壊(南郷町)7月26日 ブロック塀などの倒壊(南郷町)7月26日

道路の陥没(南郷町〜矢本町)7月26日 鳥居の倒壊(矢本町)7月26日

建物の倒壊(南郷町)7月26日 同左


警察の緊急支援隊(7月26日・矢本町役場前) 自衛隊の災害出動(7月26日)矢本町役場前

河川の堤防に亀裂(7月26日) 断水して給水を受ける人々(7月26日)


2003年7月26日宮城県北部の地震の評価
成15年7月26日の地震について地震調査研究推進本部 地震調査委員会は次のように評価を発表している

○ 7月26日0時13分頃に宮城県北部の深さ約10kmでマグニチュード(M)5.5(暫定)の地震が発生し、宮城県で最大震度6弱を観測した。また、同日7時13分頃にはM6.2(暫定)の地震が発生し、宮城県で最大震度6強を観測した。それぞれの地震により負傷者が出るなど被害を伴った。

これらの地震の後に多数の余震が発生しており、それらの震源は、ほぼ南北方向長さ約15kmに分布している。地震の発生の状況から、これまでの地震活動は7時13分の地震を本震とする前震−本震−余震型と考えられる。本震の発震機構は、東西方向に圧力軸をもつ逆断層型で、地殻内の浅い地震と考えられる。

なお、26日17時までの最大の余震は、16時56分頃のM5.4(緊急)の地震である。

○ 周辺のGPS観測の結果には、今回の活動に伴い若干の変化が見られる。なお、今回の地震活動の前にノイズレベルを超えるような変化は認められなかった。

○ 今回の地震は地殻内の地震であり、プレート境界で発生した1978年宮城県沖地震や沈み込む太平洋プレート内で発生した本年5月26日の宮城県沖の地震とは性質の異なる地震である。今回の地震活動が地震調査委員会が想定している宮城県沖地震に与える直接的な影響はほとんどないと考えられる。

○ 本年5月26日の宮城県沖の地震の震源域から内陸側の広い範囲では、5月26日の地震以降、浅い地震活動がやや活発になっていた。

○ 7月26日17時から3日以内にM4.5以上およびM5.0以上の余震が発生する確率は、それぞれ約50%、約20%と推定される。M4.5程度の余震が発生した場合、大きいところでは震度5弱程度、M5.0程度の場合には震度5強程度の揺れになると推定される。