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南海トラフ巨大地震
 
海溝とトラフ
関東から東北日本にかけては、大陸側のプレート(北米プレート)の下に海側のプレート(太平洋プレート)が日本海溝から沈み込んでいる。海側のプレートと大陸側のプレートが接する海溝で、大陸側プレートの下に潜り込もうとする海側プレートに引きずられてたわんだ大陸側プレートが、跳ね返って発生する地震を海溝型地震と呼んでいる。その場合津波も発生する。20,000人以上の犠牲者を出した東日本大震災も海溝型地震。海溝(trench)とは、深さ6,000メートル以上の海底で細長く溝状に深くなっている場所。トラフ(trough)とは、深さ6,000メートルより浅い海底で船底のように細長く深くなっている場所をいう。関東から西南日本にかけては琉球海溝と小笠原海溝の間にある海のプレート(フィリッピン海プレート)が年間数センチのスピードで、南海トラフから陸のプレート(ユーラシアプレート)の下に沈み込んでいる。こうした海溝及びトラフ沿いで過去大地震が繰り返し発生してきた。
南海トラフにおける過去の主な大地震
慶長地震
1605年12月16日、南海トラフを震源(諸説有)とする地震が発生。犬吠埼から九州に至る太平洋沿岸に津波が押し寄せ多くの被害を出したと推定されている。
宝永地震
1707年10月28日14時ごろ、南海トラフ(東海・東南海・南海沖)を震源とするM8.4~8.6(Mw8.7〜9.3)の地震が発生。約790㎞に及ぶ広い範囲が震度6以上(一部震度7)と推定される激しい揺れに襲われ多数の建物が崩壊。その後、房総半島から九州に至る太平洋沿岸に大津波が襲来。土佐で最大26mの津波が押し寄せたものと推定されている。この地震及び津波による死傷者は5,000人〜20,000人と推定されている。この地震の49日後には富士山が大噴火を起こし噴煙は20㎞まで上がり、100㎞以上離れた江戸まで降灰により昼間でも行燈を付けなければならないほどだった。噴火は2週間ほどで収まったが、地震、津波、噴火により復興が難航した。宝永地震参照
安政東海地震
1854年12月23日午前9時15分ごろ、南海トラフ(東海・東南海沖)を震源とするM8.4(Mw8.4~8.6)の地震が発生。駿河湾沿岸だけでなく山梨県まで震度7と推定される激しい揺れに襲われ、家屋の倒壊、焼失など多くの建物が損壊。その直後、房総半島から土佐まで大津波が押し寄せ、現鳥羽市では最大22.7mの津波に襲われたと推定されている。そして32時間後に安政南海地震が発生する。
安政南海地震
1854年12月24日16時30分ごろ、南海トラフ(南海沖)を震源とするM8.4(Mw8.5~8.7)の地震が発生した。前日発生した安政南海地震の32時間後のことだった。西日本の広い範囲で大きな揺れにより多数の建物が倒壊した。その後紀伊半島から九州に至る太平洋沿岸に津波が襲来、土佐で最大16.1mの津波高。死傷者は数千人と言われるが、前日の地震と重なるものもある。稲むらの火参照
昭和東南海地震
1944年12月7日午後1時35分ごろ、南海トラフ(和歌山県南方沖)を震源とするM7.9(Mw8.1~8.2)の地震が発生。太平洋戦争中だったこともあり軍部による報道管制中だったこともあり当初は詳細被害は公表されなかったが、この地震による死者・行方不明者は1,223人に上った。全壊18,008棟、半壊36,554棟。地震直後に静岡、愛知、三重などに大津波(尾鷲市で最大9.0m)が押し寄せ流失家屋3,129棟、浸水家屋8,816棟の大きな被害を出した。そのほか焼失家屋3,129棟、火災発生26カ所。
昭和南海地震
1946年12月21日午前4時19分ごろ、南海トラフ(潮岬南方沖)深さ24㎞を震源とするM8.0(Mw8.4)の地震が発生。南西日本一帯で激しい揺れとその後の大津波で大きな被害を出した。この地震と津波で高知県、徳島県、和歌山県を中心に死者・行方不明者1,330人、全壊家屋11,591棟、半壊家屋23,487棟、流失家屋1,451棟、焼失家屋2,598棟に及んだ。津波は静岡県から九州に至る太平洋沿岸に押し寄せ徳島沿岸で最大6mに達した。

南海トラフ巨大地震
従来南海トラフ沿いで発生する地震は、東海地震、東南海地震南海地震とされ、単独または三連動で発生することが想定されていた。とくに東海地震は1854年の安政東海地震以降空白となっていたため、次は東海地震が発生する可能性が高いとして、東海地震等を前提とした大規模地震対策特別措置法(通称大震法)が1978年6月31日に制定され、静岡県を中止として防災対策を推進してきた。しかし、2011年3月11日に東日本大震災(M9.0)が発生したことを受け、今後南海トラフ沿いでも広域大規模地震発生の可能性が否定できないとして、内閣府は下図のように南海トラフ沿いでいくつかの震源ブロックが同時に動いた場合を想定した南海トラフ巨大地震(M9.1)の対策を行うこととなった。
南海トラフ巨大地震・被害想定
この地震が発生した場合、広い範囲で震度6弱~震度7の激しい揺れが想定され、主に次のような被害想定となっている。。
・最悪死者=32万3千人
・全壊建物=238万6千棟
・最大津波=34.4m(高知県黒潮町)
・浸水面積=1,015㎢
・避難者=950万人
・断水人口=3,440万人
・経済被害=220兆円
・道路・鉄道被害=6万カ所
・停電軒数=2,710万軒
向こう30年以内の発生確率=70%~80%(2018年1月1日現在/地震調査研究推進本部)

南海トラフ巨大地震・市町村別最大震度南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ)
南海トラフ巨大地震・市町村別最大津波高一覧表(南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ)

命を守る対策(山村武彦の提唱する防災対策参照
東日本大震災の震源域は陸から約130㎞〜160㎞沖合。しかし、南海トラフ巨大地震の想定震源域は一部陸地も含まれるほど極めて陸に近い。その分、直下地震のように激しい揺れに襲われる可能性がある。また、震源域が陸に近い分、場所によっては津波の第一波到達時間が地震後5分~10分という地域も多い。海岸に住んでいる高齢者などの避難が困難になる可能性もある。そこで次の対策を急ぐ必要がある。
1、建物の耐震化、室内の家具や電化製品の固定(まずは我が家を安全にすること)
2、安全ゾーンを設定する。(安全ゾーンとは、転倒落下物の少ない閉じ込められない場所)安全ゾーン参照
3、津波避難と併せて、大揺れから命を守る知識と行動を身につけること。
4、海岸線に住む人は、ライフジャケットを用意し、避難するときは着用して避難する。
5、向こう三軒両隣で「防災隣組」を結成し、いざという時は隣近所で安否確認、助け合って避難する。互近助参照
6、災害想定はあくまで目安にひるまず、あきらめず、力を合わせて準備し訓練し不条理な災害を迎え撃つ

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