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日本国内でもテロ攻撃を覚悟しなければならない

アルカイダを名乗る人物が日本攻撃を予告
 「日本が経済力を破壊され、アラーの軍に踏み潰されたいならば、イラクに自衛隊を送るがよい。我々の攻撃は東京の中心部に及ぶだろう」2003年11月21日、国際テロ組織アルカイダの指導者、アブムハマド・アルアブラージと名乗る人物が、ロンドンで発行しているアラビア語の週刊誌「アルマジャッラ」にこんな警告文を送ってきた。この名前で日本への警告は16日に続いて2度目。他のロンドン発行の新聞にも同様の声明が相次いで届いた。アルカイダとされる声明が日本を名指しして警告するのは、2003年10月にアラブのテレビが放送したオサマ・ビンラディン氏の音声テープに次ぐものだが、本当にアルカイダの声明かどうか真偽は不明だ。
 2003年11月21日、エアリー米国務省副報道官は定例記者会見で、国際テロ組織アルカイダの幹部を名乗る人物が自衛隊のイラク派遣を牽制(けんせい)する声明を出したことに関連して、「彼ら(テロ組織)は、自分たちの憎しみと暴力のメッセージを信じない者は誰でも標的にする」と述べ、脅しに屈するべきではないとの見解を示した。副報道官は「自由勢力はテロ勢力と戦争状態にあり、戦争は全世界に広がっている。テロリストの活動家は世界の至る所にいて、考え方が異なると思う人はだれでも攻撃しようとしている」と警告。「中立でいようがいまいが、標的になる」と述べ、自衛隊派遣の有無にかかわらず、日本も攻撃の対象になり得るとの見方を示した。
スペイン列車同時爆破テロ事件・犯行声明で日本などを名指しで警告
 2004年3月11日に発生したスペイン・マドリードの列車同時爆破テロ事件に関し、スペイン捜査当局は、当初非合法組織「バスク祖国と自由(ETA)」による犯行としていたが、マドリード郊外で見つかった盗難小型トラックからコーランをアラビア語で朗読したカセットテープなどと起爆装置7基が発見され、国際テロ組織が犯行に関与しているとの見方を強めている。
 また、イギリスのアラビア語紙「アルクドウズ・アルアラビ」に11日夜、アルカイダを名乗るグループから犯行声明が届いた。声明文は決死中隊/アルカイダを名乗り「我々は十字軍同盟の一翼であるスペインに厳しい一撃を与えた。アスナール(スペイン首相)よ、英国よ、日本よ、そして他の(米国の)協力者たちよ、誰がお前たちを我々から守るのか」と日本などを名指しで警告している。その後届いた犯行声明を録画したビデオテープでは、9.11テロ2年半を期した攻撃だと述べ、再度米英同盟国への攻撃を警告していた。その警告どおり、2004年4月8日、日本人三人がイラクで誘拐される人質事件が発生した。

民間企業もテロとの戦いを覚悟し、セルフディフェンスを強めなければならない
 2003年11月29日、イラクで日本大使館員二人がテロの銃撃により殺され、イラク戦争勃発後初の日本人犠牲者が出てしまった。翌日にはその現場から遠くない場所で韓国の電気技師が同じような銃撃を受け死傷者を出し、た。これは、テロリストが日本や韓国をイギリスと並ぶアメリカの盟友として攻撃対象にしていることを物語っている。また、スペイン同時列車爆破テロのように、不特定多数をターゲットにしたテロ事件が続発している。これは米英軍などのハードターゲットから民間人へのソフトターゲットへ攻撃がエスカレートし、今後は無差別テロに変わった事を物語っている。
 小泉内閣は2004年1月からイラクへ自衛隊を派遣し2006年7月に航空自衛隊の一部を除き撤収を完了した。しかし、テロリストたちはアメリカのイラク攻撃を支持し、軍隊を派遣した国は全て敵とみなし、テロリストにとって敵は自衛隊だけでなく、政府関係者、民間人を含め日本人がその標的になる可能性がある。
 民間企業も無差別テロのターゲットにされる危険性はきわめて高いとすれば、自衛のための自己完結型テロ対策を含む危機管理をを強化すべきである。全ての防災対策は事前対策である。業容、業態、社会情勢に合わせた安全管理・危機管理が重要である。企業の安全管理はは企業の存廃に関わり、災害、テロに関わらず企業が何らかの被害を受ければ直接株価に反映する時代である。分厚い形だけの危機管理マニュアルでなく、日常の安全管理と危機意識の強化、社員の安全モラルが今求められている。
米国同時多発テロ事件から5周年目、2006年に再び同時多発テロ事件が起こる可能性がある
アルカイダは2001年9月11日の米国同時多発テロ事件を、米国に打撃を与えた聖戦記念日としている。日本を含めイラク戦争を支持し、派兵した国々とくに米国の親密な同盟国に対して、大規模なテロを仕掛けてくる可能性があると思われる。2006年9月前後は危険な時期と考えて厳戒態勢に入るべきである。特にホットプレイスといわれる空港、駅、新幹線など繁栄のシンボルで多数の人々が集まる場所の警戒を強める必要がある。
危機管理の原則は社員の危機意識啓発、日常の安全管理、危機の予防、回避、排除、克服

 卑劣なテロを赦してはならないし、屈してはならない。しかし、掛け声だけで無差別テロに対抗できるわけではない。危機管理の原則は危機に陥らないための予防策、回避策が重要です。そして、万一危機に見舞われた時、排除策、克服策を予めマニュアル化しておく必要があります。従来の危機管理には必ず「安全の死角」があります。危機管理は複眼的、多角的に見るためには第三者の目が必要です。
防災システム研究所
では企業の危機管理マニュアル策定及び、防災訓練立会評価防災顧問を派遣する。

日本政府と日本企業はテロ対策に無関心
日本政府と日本企業はテロ対策には無関心としか見えない。それはテロ保険を見れば一目瞭然である。各国の主要企業におけるテロ保険加入率は2004年1月現在、次のようになっている。
1、欧米=約60%
2、東南アジア(シンガポール、タイ、フィリッピン)=約50%
3、韓国、中国=約18%
4、日本=2%
 企業は通常火災保険や第三者賠償責任保険に加入しているが、戦争やテロは免責事項となっているので、テロや災害による損害は担保されていない。そこで、テロ保険が必要となってくるが、日本企業はテロに対しては無保険状態にある。これは日本の損害保険会社が資産価値10億円以上の大型物件に関してはテロの被害を補填しないという「テロ免責」を導入していることから、海外の保険会社のテロ保険に頼らなければならないということも加入率を下げている要因となっている。
 また、国としての対応も日本は遅れている
1、米国/2002年11月に「テロ保険法」成立、破壊活動に伴う損害で民間保険会社の保険金が
      巨額に上る場合、支払額の90%分を国が賄う。補償額の上限は初年度900億ドル補償期間は3年。
2、オーストラリア/テロによる保険金支払いのための共同保険基金(プール制度)を創設、国が5億オーストラリアドルを補償。
3、イギリス/1990年からテロ保険共同保険基金を設立。再保険会社(ロイド等)がバックアップ体制を敷いている。
4、フランス、オランダ/英国と同じ
5、ドイツ/テロ保険専門会社を設立。民間の損保会社が受けにくい保険を取り扱う。
6、日本/9.11後の01年12月、損保協会がテロ保険プール制度の検討チームを発足させるも、政府や企業の理解が得られず足踏み状態となっている。現在テロのリスクに対して日本は無保険状態。
 特に米国ではホテル協会、鉄道協会、債券市場協会、商業不動産担保保険協会、不動産投資信託協会などが「テロ保険連合」を結成し、官民上げて保険業界の後押しをしている。
脅迫には屈しない真のメッセージ
  日本企業と日本政府はコストばかり考え、テロ保険創設には無関心。いずれ、東京がテロに襲われてから大騒ぎをするに違いない。しかし、それではあまりにも情けないし、それこそテロリストの思う壺である。2001年9月11日の米国同時多発テロ事件で、損害保険会社が支払った保険金総額は4兆4000億円に上る。無保険状態の日本で同様のテロが発生したらどうなるのかを今、考えておく必要がある。日本は何かが起きてからでなければ動かない「周章狼狽の事後対応型国家」である。21世紀は「安全・安心」がキーワード。一日も早く「不条理なものと断固闘う予見対策型国家」となることがテロに屈しないという真のメッセージに他ならない。山村武彦


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