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東海・東南海・南海地震、それぞれの被害想定(最大値)

 
東海、東南海、南海地震、この三地震が同時発生すると、最悪24,700人死亡

中央防災会議の「東南海・南海地震に関する専門調査会」は平成15年9月17日、「東海」「東南海」「南海」の3地震が同時発生した場合の被害想定を公表した。発生時刻などで被害状況は変わるものの、最悪の場合、死者は約2万4700人、震度7の激しい揺れや10メートルを超える津波で約96万棟の住宅などが全壊、経済被害は約81兆円に達するとしている。同調査会が4月に発表した東南海・南海地震被害想定も一部見直しが図られた。東南海・南海地震被害想定 
専門調査会によると、1605年の「慶長地震」、1707年の「宝永地震」は、3地震が連動して発生し、1854年の安政東海地震安政南海地震では二つの地震が連続して発生している。このため、三つの地震が同時に発生した場合の被害想定をまとめた。東南海・南海地震の想定震源域
想定では、マグニチュード(M)は8・7。神奈川県から宮崎県までの範囲で震度6弱以上の揺れに見舞われ、高知県などには10メートルを超える大津波が押し寄せるという。
「午前5時」「正午」「午後6時」という発生時刻別の試算では、死者数は多くの人々が寝ている午前5時が最悪。建物倒壊で約1万2200人、津波で約1万2700人、斜面崩壊で約2600人、火災で約900人が死亡するとした。
ただし、津波については揺れに見舞われてから5分以内に高台などに避難すれば、犠牲者は約2000人は減らせるとしている。こうした地震はいつ突発的ニ起きても不思議ではないといわれている。家庭、地域、行政、企業は、事前に防災研修会などを行うと共に、直ちに防災マニュアルを見直し、対策を強化すべきである。|


 平成22年4月21日、中央防災会議は東海・東南海・南海地震が同時に発生した場合について、都府県別の被害想定を発表した。死者数で最も多い静岡県が8,100人で、愛知、三重、和歌山、徳島、高知の5県も1000人を超え、21府県で死者合計は25000人としている。3地震が同時又はほぼ同時に連動して動き、M8.7の地震が発生。発生時刻は被害が多くなると予想される午前5時、風速15m、津波に対する避難意識が低いことを前提として試算している。
東海・東南海・南海地震 3地震連動又は同時発生時における府県別の主な被害想定(数字前の「約」は省略)
都府県 死者数 全壊棟数
千葉県 60棟
東京都 40棟
神奈川県 10人 600棟
福井県 30棟
山梨県 200人 5100棟
長野県 100人 3700棟
岐阜県 30人 3900棟
静岡県 8100人 230000棟
愛知県 1900人 91000棟
三重県 2600人 51000棟
滋賀県 10人 1200棟
京都府 10人 1200棟
大阪府 50人 13000棟
兵庫県 100人 6100棟
奈良県 10人 1400棟
和歌山県 4600人 48000棟
岡山県 50人 5900棟
広島県 30人 4000棟
山口県 10人 500棟
徳島県 1300人 15000棟
香川県 1700棟
愛媛県 200人 4600棟
高知県 4900人 55000棟
福岡県 20棟
熊本県 30棟
大分県 30人 1200棟
宮崎県 500人 3000棟
25000人 550000棟

東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年7月公布)
東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法施行令(平成15年7月公布)
東南海・南海地震防災対策大綱及び東南海・南海地震防災対策推進地域指定(平成15年12月決定)
東南海・南海地震防災対策推進基本計画策定(中央防災会議)
推進計画策定(指定行政機関、指定公共機関、地方自治体等)
対策計画策定(民間事業者)

東南海・南海地震に関わる防災対策特別措置法に基づく「対策推進地域」決定(平成15年12月16日)
中央防災会議「東南海・南海地震等に関する専門調査会」は「東南海地震」「南海地震」が同時に発生した場合の被害想定では、最悪21,000人が死亡するという「東南海・南海地震被害想定」を発表。そして、「東南海・南海地震に関わる防災対策特別措置法」に基づき、平成15年12月16日、「東南海・南海地震対策大綱」を決定し、合わせて1都2府18県652市町村を東南海・南海地震が発生した場合、「著しい地震災害の恐れがある地域」として「東南海・南海地震防災対策推進地域」(以下推進地域)に指定した。(推進地域の詳細は下段に掲載指定された地域には約3,700万人が住み、日本の人口の約30%にあたる。
推進地域の指定基準は、東南海・南海地震の被害想定で
(1)震度6弱以上
(2)沿岸で3メートル以上、地上2メートル以上の津波が来襲し、堤防が不十分―などの条件を満たす地域
(3)上記地域に隣接し防災体制整備の観点や過去の被害も考慮し、東南海・南海地震に関わる防災対策特別措置法に基づいて指定する。(津波災害の知識
企業の防災計画、災害対
策の見直しが不可欠
従来、東海、東南海・南海地震が個別に発生することを前提としていたが、今後、地方自治体、事業所等は二つの地震及び三つの地震が突発的に、同時又は連続発生を前提とした防災計画策定が急務となる。そのためにはまず、市民、職員、社員への防災教育、意識啓発を優先して実施する必要がある。
人は石垣人は城
このような重要な情報が公表された以上、直ちに企業も防災研修会を開き、災害に関わる知識と情報の共有、一人一人の防災マインド啓発、危機管理ベクトルを合わせることが急務である。そして、発表された被害想定などに基づき防災マニュアル(計画)の抜本的見直しが不可欠。
以前は市民のパニックを招くからと、行政は得られた情報を秘匿したり、小出しするきらいがあったが、最悪を想定し、三つの地震の同時発生被害想定、推進地域などを公表したことは評価される。その一方で地方公共団体、企業などは公表された情報に基づく防災計画の見直しや適切な防災対策を怠って被害や二次災害を発生させれば、その責任を問われることになる。
複雑な国の地震防災対策が混乱を招く
地震が発生したとき、著しい災害が想定される地域を、東海地震では「強化地域」、東南海・南海地震では「推進地域」の名称で指定している。両地域にダブって指定されている地域は名古屋市など110市町村に上る。東海地震は「大規模地震対策特別措置法」、東南海・南海地震は「東南海・南海地震に関わる防災対策特別措置法」と別々の法律に基づいている。それぞれの想定地震ごとに「専門委員会」が設置され、それぞれに「被害想定」「対策大綱」「応急対策要領」などが定められ、自治体や事業所にはそれぞれの地震を想定した防災計画策定が要求される。その多くは共通事項が多く個別に策定する意味を持たない。こうした複雑な国の防災対策は自治体業務をことさら煩雑化し、市民の防災対策にも混乱を生じる恐れがある。
相関関係にある三地震対策を統合すべき
東海地震、東南海地震、南海地震は同時、または連続して発生するという相関関係にあることは、白鳳地震(684年)、仁和地震(887年)、慶長地震(1605年)、宝永地震(1707年)、安政東海・南海地震(1854年)など、過去発生した数々の地震が証明している。学会でも東海地震と南海地震が同時または連続して発生する可能性が高いことが通説となっている。中央防災会議も平成15年9月17日、三つの地震が同時に発生した場合の被害想定を発表していることを考えると、将来さらに「三つの地震同時発生想定」の法令や対策が策定される可能性が高い。
三地震の相関性を認知するのであれば、個々の法律、個々の地震防災対策を一元化し、統合するべきである。防災対策は最悪に備えるのが基本である。単独地震発生想定の防災計画では同時巨大地震発生には対応できない。単独地震発生と異なるのは、被災地域が広範にわたるため、救援隊・緊急物資の不足、広範囲のライフライン長期断絶、道路・交通機関網の長期途絶などが予想されるので、最悪を想定した自己完結型の防災対策が望まれる。国の地震防災対策は、個々の法律策定のプロセスやしがらみに捉われず、国民が理解しやすいシンプルで実践的なものに直ちに改定すべきである。
地震対策は直前予知ができない事を前提にすべし
昭和53年(1978年)6月15日に公布された「大規模地震防災対策特別措置法」で、東海地震だけは発生の数時間から数日以内に予知でき、それを前提に「注意情報」「予知情報」「警戒宣言」を発令する仕組みとなっている。
最近では、一部で予知できないこともあり得るとして中央防災会議は一部大綱等で計画の見直しを図ったが、一般市民は警戒宣言発令後に地震が発生するものと思い込んでいる人が多い。しかし、東海地震は本当に予知できるのだろうか、私は極めて困難だと考えている。
東海地震が予知できる可能性があるとする根拠は、東京帝国大学地震学教室の今村明恒主任教授が行っていた静岡県掛川市〜御前崎間の水準測量から始まった。今村教授は、宝永、安政地震など、この地域で発生する巨大地震の予知を試みた人である。その測量を開始したのがちょうど昭和の東南海地震(1944年)が発生する一ヶ月前であった。地震発生当日も測量を行っていて、この時の測量結果から、地震前日から当日にかけて地震発生時とおなじように御前崎の方が持ち上がる動きが確認できた。もしも、このような動きが次の東海地震の前に現れれば、現代の観測機器なら確実にとらえられるに違いない。という考えが基本となって現代の東海地震予知体制がつくられたのである。
岩石実験や地震発生理論では、大地震の前に岩盤がゆっくりとずれ始めることが分かってはいる。しかし、昭和の東南海地震の直前に御前崎の方が約20mm程度持ち上がったその一事だけを根拠として、今後の東海地震が予知できるとするのはいかがなものか?。もちろん、観測機器を埋設して研究を続けることは重要だと思うが、過去の一つの地震事例だけで地震予知の根拠とするのは、あまりにも短絡的であると思う。
それにより、市民や行政は警戒宣言が発令されたら?に防災対策の力点が置かれ、突発的地震発生時対策だけをとる場合と比較して、防災体制が分散されてしまう懸念がある。政府は今からでも遅くはない、東海地震は予知できたら儲けもののつもりで、原則は予知できないことを前提にした防災対策に切り替えるべきと考える。
なぜならば、予知を前提としたこの法律制定後26年、この間に発生した大地震(北海道南西沖地震、鳥取県西部地震、芸予地震、宮城県北部地震、十勝沖地震)は、どれ一つ予知できていないからである。法律で定める以上、もっとしっかりとした根拠によるべきではなかろうか。そうしないと膨大な予算の無駄遣いと現場の混乱を更に続けることになる。


東南海・南海地震二つの地震が発生した場合の想定震源域と想定震度分布図(中央防災会議)
東海・東南海・南海の三つの地震が発生した場合の想定震源域と想定震度分布図(中央防災会議)

東海・東南海・南海の三つの地震が発生した場合の、津波想定波源域と想定津波高さ(中央防災会議)


東海・東南海・南海地震被害想定東南海・南海地震に関する専門委員会東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法東海道、南海道の地震記録東南海・南海地震の想定震源域安政東海地震安政南海地震||阪神大震災奥尻島の悲劇稲むらの火津波注意表示板

「東南海・南海地震対策大綱」と「東南海・南海地震防災対策推進地域」652市町村を決定(平成15年12月16日)

今世紀前半にも発生の恐れがあるとされる「東南海」「南海」地震の防災対策を検討している中央防災会議の専門調査会(座長=土岐憲三・立命館大教授)は平成15年12月16日、「東南海・南海地震対策大綱」を決定した。この大綱は東南海・南海地震が発生した場合、東海地震と異なり、甚大な津波被害が想定されるとして、津波防災体制の確立を推進するためソフト、ハード面での津波防災対策再構築を促している。津波注意表示板
また、2つの地震が起きた際、震度6弱以上の揺れや3メートル以上の津波に見舞われる可能性が高く、建物の耐震化や避難経路の再構築などが必要な「東南海・南海地震防災対策推進地域」を指定した。推進地域は静岡県から宮崎県までの東西700キロ以上に及ぶ太平洋沿岸のほか、大阪湾や瀬戸内沿岸、内陸部の諏訪市(長野県)や大垣市(岐阜県)、彦根市(滋賀県)、京都市などの自治体も含まれ、被害が広範囲に及ぶことが改めて示された。推進地域指定は、7月25日に施行された「東南海・南海地震に関わる防災対策特別措置法」に基づくもので、予知ができず、突発的に発生する2つの地震に備えて、自治体の防災対策の推進と住民の防災意識の啓発が狙い。推進地域に指定された自治体は地域防災計画を見直し、防波堤や消防用施設などの整備、津波からの避難方法などを定めることになる。地域内の企業や病院、学校なども耐震化や避難経路などの対策を講じる必要に迫られる。学校や病院などの施設では、耐震化補強で優先的に国の補助が得られる。
指定された地域内には既に東海地震の「強化地域」にも指定され手いる地域が110市町村もあり、そうした自治体は「東海」と「東南海・南海」のそれぞれについて防災対策を策定しなければならなくなる。


「東南海・南海地震に関わる防災対策特別措置法に基づく対策推進地域」(平成15年12月16日)1都2府18県652市町村(合併前の旧町村名)

【東京都】

八丈町、小笠原村
【長野県】
諏訪市
【岐阜県】
岐阜市、大垣市、多治見市、関市、中津川市、美濃市、瑞浪市、羽島市、恵那市、美濃加茂市、土岐市、各務原市、可児市、山県市、瑞穂市、川島市、岐南町、笠松町、柳津町、海津町、平田町、南濃町、養老町、上石津町、垂井町、関が原町、神戸町、輪之内町、安八町、墨俣町、揖斐川町、谷汲村、大野町、池田町、春日村、久瀬村、藤橋村、坂内村、北方町、本巣町、真正町、糸貫町、洞戸村、板取村、武芸川町、武儀町、上之保村、坂祝町、富加町、川辺町、七宗町、八百津町、白川町、東白川村、兼山町、笠原町、岩村町、山岡町、明智町、串原村、上矢作町
【静岡県】
静岡市、浜松市、沼津市、島田市、磐田市、焼津市、掛川市、藤枝市、袋井市、天竜市、浜北市、湖西市、南伊豆町、大井川町、御前崎町、相良町、榛原町、吉田町、金谷町、大須賀町、浜岡町、小笠町、菊川町、大東町、森町、浅羽町、福田町、竜洋町、豊田町、豊岡村、舞阪町、新居町、雄踏町、細江町、引佐町、三ケ日町

【愛知県】
名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、瀬戸市、半田市、春日井市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、犬山市、常滑市、江南市、尾西市、小牧市、稲沢市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、尾張旭市、高浜市、岩倉市、豊明市、日進市、田原市、東郷町、長久手町、西枇杷島町、豊山町、師勝町、西春町、春日町、清洲町、新川町、大口町、扶桑町、木曽川町、祖父江町、平和町、七宝町、美和町、甚目寺町、大治町、蟹江町、十四山村、飛島村、弥富町、佐屋町、立田村、八開村、佐織町、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町、一色町、吉良町、幡豆町、幸田町、額田町、三好町、藤岡町、下山村、鳳来町、作手村、音羽町、一宮町、小坂井町、御津町、渥美町

【三重県】
全域

【滋賀県】
彦根市、長浜市、近江八幡市、八日市市、野洲町、水口町、土山町、甲賀町、安土町、蒲生町、日野町、竜王町、永源寺町、五個荘町、能登川町、愛東町、湖東町、秦荘町、愛知川町、豊郷町、甲良町、多賀町、米原町、近江町

【京都府】
京都市

【大阪府】
大阪市、堺市、岸和田市、吹田市、泉大津市、高槻市、貝塚市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、泉佐野市、富田林市、寝屋川市、河内長野市、松原市、大東市、和泉市、柏原市、羽曳野市、門真市、摂津市、高石市、藤井寺市、東大阪市、泉南市、四条畷市、交野市、大阪狭山市、阪南市、忠岡町、熊取町、田尻町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村、美原町

【兵庫県】
神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、洲本市、芦屋市、相生市、加古川市、赤穂市、高砂市、播磨町、家島町、御津町、津名町、淡路町、北淡町、津名郡一宮町、五色町、東浦町、緑町、西淡町、三原町、南淡町

【奈良県】
全域
【和歌山県】
全域

【岡山県】
岡山市、倉敷市、玉野市、笠岡市、備前市、日生町、牛窓町、邑久町、長船町、灘崎町、早島町、寄島町

【広島県】
竹原市、三原市、尾道市、福山市、音戸町、沼隈町

【徳島県】
全域
【香川県】
高松市、さぬき市、東かがわ市、内海町、三木町、牟礼町、庵治町、仲南町、高瀬町

【愛媛県】
松山市、今治市、宇和島市、八幡浜市、新居浜市、西条市、大洲市、伊予三島市、伊予市、北条市、東予市、土居町、小松町、丹原町、朝倉村、玉川町、波方町、大西町、菊間町、弓削町、大三島町、重信町、川内町、久万町、面河村、小田町、松前町、砥部町、広田村、中山町、双海町、長浜町、内子町、五十崎町、肱川町、河辺村、保内町、三崎町、三瓶町、明浜町、宇和町、野村町、城川町、吉田町、三間町、広見町、松野町、日吉村、津島町、内海村、御荘町、城辺町、一本松町、西海町

【高知県】
全域

【山口県】
久賀町、大島町、東和町、橘町

【大分県】
大分市、別府市、中津市、佐伯市、臼杵市、津久見市、豊後高田市、杵築市、宇佐市、真玉町、香々地町、国見町、姫島村、国東町、武蔵町、安岐町、日出町、佐賀関町、上浦町、鶴見町、米水津村、蒲江町

【宮崎県】
宮崎市、延岡市、日南市、日向市、佐土原町、南郷町、新富町、門川町、北川町、北浦町


東海地震と東南海、南海地震について)  (東海地震と警戒宣言

防災対策について
大規模地震に関わる防災対策の基本は津波対策、耐震対応策、応急対応対策、防災資器材備蓄整備、避難所対策、災害対策本部体制、緊急広報対策など全般的にたくさんの対策が望まれますが、地域防災計画はそれらを網羅する必要があると思います。しかし、財政事情の厳しい折から防災対策を進めるにあたり次の点を留意することが大切だと思います。特に防災意識の高揚、啓蒙啓発活動が重要だと思います。防災システム研究所/山村武彦
1、防災に関わる基本理念の構築(一般論や抽象論でなく具体的目標を含む理念)
2、危機レベルの明確化(単純化)(例、緊急事態・厳戒態勢・警戒態勢・注意監視体制など)
3、具体的なアクションプログラム(事業を進める上での優先順位)(事前対策、応急対策、事後対策)
4、事業推進や災害に強い街づくりのための啓蒙、広報活動
5、行動マニュアルの策定(組織、役職、地域別の具体的な行動指針)
6、行政(企業)と市民(社員)との明確な役割分担の明確化
7、実践的防災教育及び自発的防災訓練の実施カリキュラム
8、防災対策ツールの整備
9、防災備蓄資器材の整備(行政が備えるべきもの、住民が備えるべきものなどの明確化、条例化)
10、防災対策進捗及び適正チェックの第三者評価機関の設定
11、防災計画の定期的な見直しステムの構築
12、その他

東南海・南海地震
上の写真(電柱上部青い帯)は、安政南海地震(1854年)時の津波高さを示しています。(徳島県由岐町・写真提供/嶋崎雅嘉氏(アルパック(株)) 嶋崎氏は、この津波高さ表示について、地元自主防災組織が町民の防災意識啓発のため自主的に設置されたものとして、高く評価されております。(東海・東南海・南海地震が発生すると大津波が襲来する可能性があります。揺れたら津波警報と思って、直ちに高台に避難することが大切です)
津波の注意標識

内閣府が事務局となっている中央防災会議の「東南海地震、南海地震に関する専門調査会」は、次のような見解を示している。
I.東南海、南海地震の想定震源域について
1、東南海、南海地域に発生する地震についての考え方
(1)歴史地震の調査結果によれば、東海〜南海地域では、これまで100年〜150年程度の間隔でマグニチュード8クラスの地震が発生しており、今世紀前半にも発生が懸念されていることから、今のうちから事前の対策  を進める必要がある。
(2)1707年宝永地震では、駿河湾〜四国西縁にわたる全域が同時に破壊した。
(3)1854年安政東海地震と1854年安政南海地震では、駿河湾〜和歌山県潮岬にかけての領域と潮岬〜四国西縁にかけての領域が32時間の間隔で連続して破壊した。これら2つの地震の震源域の合計は、1707年宝永地震の震源域と同程度とされている。
(4)1944年昭和東南海地震と1946年昭和南海地震では、静岡県浜名湖〜潮岬にかけての領域と潮岬〜四国西縁にかけての領域が2年の間隔をおいて破壊した。1944年昭和東南海の震源域は1854年安政東海地震の震源域よりやや小さく、1946年昭和南海地震の震源域は1854年安政南海地震の震源域よりやや小さいとされている。
(5)以上のように、東海〜南海地域に過去に発生した地震の震源域及び発生の形態は様々である。防災対策の観点からは、上記の各例のように時間的・空間的にさまざまな発生形態を想定する必要がある。特に、1707年宝永地震の例のように、関東地方南部〜九州地方東部に至る広範な領域にわたる被害の拡がり、1854年安政東海地震と1854年安政南海地震の例のように隣接領域で短時間に連続して発生する地震による被害、また、強震動のみならず津波による被害等、この地域に発生する地震による被害の特徴を十分把握することが重要である。

2、震源域の設定等の考え方
当調査会における検討では、東海〜南海地域に発生する地震の想定震源域については、中央防災会議「東海地震に関する専門調査会」、及び文部科学省の地震調査研究推進本部の検討成果を最大限に活用し、まずは、初期モデルとして以下のような考え方に基づき強震動や津波の試算結果と過去の地震による被害実態との比較検討も踏まえ、必要なフィードバックを行った上で、最終的な想定震源域を設定することとする。
(1)過去に発生した地震から見て、駿河湾〜浜名湖にかけての領域、浜名湖〜潮岬にかけての領域、潮岬から四国西縁にかけての領域の3つの領域に分け、それぞれの領域を震源域とする地震を、順に、想定東海地震、東南海地震、南海地震とする。これらの震源域は互いに重なり合わないものとする。本調査会では、以下の5つのケースの地震を対象として検討する。
1)
想定東海地震、東南海地震、南海地震の領域が同時に破壊する地震
2)
想定東海、東南海地震の領域が同時に破壊する地震
3)
東南海地震、南海地震の領域が同時に破壊する地震
4)
東南海地震
5)
南海地震

(2)想定東海地震と東南海地震との境界(東南海・南海地震の想定震源域
  東海地震に関する専門調査会の検討結果である、想定東海地震の震源域の西端とする。
(3)
東南海地震及び南海地震の浅部及び深部の境界
 中央防災会議「東海地震に関する専門長会」と同じく、浅部境界は沈み込むプレートの深さ10kmに、深部境界は深さ30kmとする。これら境界としては、既に、地震調査研究推進本部がこの考えに従い総合的に判断して求めた境界とする。
(4)
東南海地震と南海地震の境界モデル南海地震の西側境界
 地震調査研究推進本部に震源モデルの境界とする。なお、南海地震の西側境界については、強震動を発生する領域としてはやや西側に拡がっている可能性もあることも留意する。
(5)
震源断層の形状
気象庁による震源分布から求められる沈み込むプレート上面の形状に合わせて震源断層の形状を定める


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